ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH) 人と環境にやさしい家の提案

パッシブデザイン×高性能

「エコハウス」とは自然エネルギーを上手に活用した環境に負担の少ない家を言います。
「S」とは滋賀の意味で滋賀の気候、風土に適した家であることを意味してします。
「エコハウスS」はパッシブデザインをベースに建物を高性能化することで、少ないエネルギーで快適かつ健康に暮らすことができる家です。

住宅はゼロ・エネルギーの時代へ
東日本大震災を契機に国内には原発を含むエネルギー供給問題があり、
世界的にはパリ協定で温室効果ガス排出量を今世紀末に実質ゼロにすることが採択されました。
EUの住宅先進国では断熱性能の確保が義務付けられています。
これらを背景に、日本の住宅も2020年に向けて新たに省エネルギー基準が義務付けられ、
新築住宅の標準でゼロ・エネルギー化される時代がすぐそこまでやってきています。

これからの時代に必要な家をつくる
ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)の先にあるのはプラス・エネルギー・ハウスです。技術的には既に可能で問題になるのはイニシャルコストですが、新しい建築技術と施工の合理化により、それほどコストのかからないものになりました。余分にかかった費用をランニングコストの削減で回収するという考え方に立てば、既に解決されたと考えられます。

世帯別エネルギー消費の内訳
エネルギー白書によると世帯あたりの消費エネルギーで最も多いのは照明、家電エネルギーで約37%、次に多いのが給湯エネルギーが約28%で、冷暖房エネルギーは約26%です。

エコハウスSは、環境にやさしいだけでなく人にもやさしい家をつくるということがミッションで、まずは健康で快適に暮らせる温熱環境を建築的工夫で実現して冷暖房エネルギーを削減することから始めます。

地域性を生かす
南北に長い日本列島では地域よって気候が異なり、エコハウスには地域性を取り入れることが大切です。
滋賀は内陸性気候の範囲でありながら伊勢湾と若狭湾に挟まれた部分に位置するため日本海側気候と太平洋側気候の両方を併せ持つ地域です。日本全国を1~8地域に分けた地域区分では、5~6地域に属しています。寒冷地の北海道には北海道のエコハウスがあり、暖かい沖縄には沖縄の気候に適したエコハウスのカタチがあります。
エコハウスSは滋賀の気候に適した滋賀に必要な滋賀に住む人のためのエコハウスです。

ベースはパッシブデザイン
パッシブとは「受動的な」という意味です。
パッシブデザインとは機械やエネルギーを使わずに、光や風などの自然エネルギーを活用しながら建築的工夫を加えることで快適な室内環境を作り出す手法を言います。
パッシブデザインの第一歩は土地の特長を読み取ることから始まります。
太陽の方向や風の向き、隣家との距離などを勘案しながらプランの工夫をします。建物の南側に庭を確保するようにすると南の開口部から太陽の光をたくさん取り入れることができ照明エネルギーを抑えることができます。

冬は南の開口部から日射を取り込み自然エネルギーを上手に活用することで、できるだけ機械に頼らずに快適な温熱環境を作り出すことができます。
夏は厳しい太陽の光を深い軒の出や南の庭に植えた樹木で遮ります。また、間取りや開口部の位置に工夫をすることで家の中に風の通り道をつくると快適な室温を保つことができます。風のないときは「暖められた空気は上昇する」という自然の摂理を生かして室内に上昇気流を起こして天窓などから排気するようにします。天窓は隣家との距離が短い人口密集地などでは特に有効で、通風だけでなく採光にも優れた機能を発揮します。


高性能住宅
UA値とは外皮平均熱貫流率を示す数値で建物の断熱性能を表します。
これまでに使用されてきたQ値に変わる指標で、数値が小さいほど性能が高いことを表します。
C値(隙間相当面積)とは天井、壁、床、窓などの隙間面積を表した数値です。
UA値に劣る家ではいくら冷暖房をしても外気温の影響を受けるばかりです。
C値が劣る隙間の多い家では、いくら暖房をしても暖められた空気が逃げていき、無駄なエネルギーが必要な家になります。
高性能化された家は住む人と環境にやさしいだけでなく、ランニングコストを抑えることができる家計にやさしい家になります。Lowエネルギーで快適な温熱環境の中、豊かに健康的に暮らせる時代になりました。

スペックのこと
滋賀の気候に適した滋賀に必要な性能をUA値0.6W/㎡Kと定めました。
UA値とは外壁、床、天井、窓など建物の外皮から失われる熱をそれらの面積で割ることで求められる数値です。
C値とは1㎡当りの隙間面積を表し、C値1.0とは、1㎡当り1c㎡の隙間があるということを意味してします。
年間トータルのエネルギーコストと快適性で考えると、日射取得と日射遮蔽を前提に通風と排気に配慮しながら、家と庭を一体で計画するパッシブハウスの場合は、この数値で温度のバリアフリーが可能です。
断熱技術の向上により、更に数値的に優れた超高性能住宅が可能になり、気密性能においてはC値が0.5c㎡/㎡をきることも難しいことではなくなりましたが、UA値に関しては数値を上げることにこだわると冬季の日射取得が少なくなります。また、いくら性能が高くても手の届かない工事費になってしまっては、オーバースペックと言う他ありません。
このスペックはイニシャルコストとランニングコストのバランスに配慮しながら快適性、低炭素化の追求という観点から見出した現時点での最善の解です。

特殊な窓
滋賀において温熱環境に優れた家をつくろうとする時、必要となる窓は熱還流率の低いアルゴンガス入りのペアガラス。
アルミ製のノーマルペアガラス窓との比較は、QPEXという温熱シミュレーションソフトで解析することができます。ガラスは薄い金属シートを貼り付けたLOW-Eガラスで遮熱と断熱のタイプがあり、それぞれを適材適所に使用します。

ガスエネルギーの削減
冷暖房費を削減したら、次に着手するのは給湯エネルギーの削減です。
家庭のガスエネルギー費の内、給湯エネルギーはおおよそ8割を占めます。
高性能住宅の場合は、冷暖房エネルギーと給湯エネルギーが、ほぼイコールとなるため、給湯エネルギーを削減することは見逃せません。
給湯エネルギーをパッシブな手法で削減する最善の方法は太陽熱温水器。
夏は、お風呂に貯めるお湯を全てまかなうことができます。
冬は足りない分だけ補助的に機械でお湯を沸かします。
太陽熱温水器は気温の影響を受けにくい真空管方式など高性能化しており
LPガス比で年間6万円のランニングコスト削減に繋がります。
太陽熱温水器の効果は太陽光発電1.5Kwに相当するというデータもありますが、イニシャルコストは太陽光発電と比べると安価で約30万円。初期投資費用は約6年で回収可能です。

給湯エネルギーを削減する2つ目の方法は、ハイブリッド給湯器の活用。
空気中の熱を集めてお湯を沸かすヒートポンプは技術の向上が著しく効率よくお湯を沸かすことができます。消費量がモニターで「見える化」されており、省エネルギー化への意識改革が進みます。従来型の給湯器(エコキュート)と比較すると、ランニングコストは3分の1に削減されます。

昼光利用
家庭部門のエネルギー消費でウエイトの高いもののひとつに照明エネルギーが挙げられます。
太陽の光で室内を暖めるパッシブデザインの場合、南面の窓は大きくとります。
すると室内に自然光が入り照明エネルギーを削減することができます。
自然光を取り入れる窓は計画の段階で大きく効果的に配置するようにします。
室内の奥の方まで自然光を取り入れるよう,吹抜け部分の窓や天窓など高い位置に窓を設けることも効果的です。照明器具はLEDへの移行が加速化しており節電に有効です。

価格の前提
エコハウスSはこれからの時代に必要な家で、誰もが建てられる家がゴール。
そのためには、手に入れやすい価格であることが第一条件。
家づくりは何も知らずに建ててしまう場合や
安いからという理由で質的に劣る家を購入して、
無駄にランニングコストを必要とする場合があります。
その一方で、良い家とは何かということを知った上で、
最初に少し頑張って、少ないエネルギーで暮らせる家を手に入れるという方法もあります。
住宅ローンと光熱費の総和を長期的にみてみると後者の方が、家計負担を軽減することができます。
エコハウスSは余分にかかった費用を昔の日本の家にあったパッシブな発想と進化した建築技術を融合をさせて光熱費を抑え、より短い期間で初期投資費用を回収することが可能です。

パーソナルオーダー
夏が苦手という人もいれば、冬が苦手という人もいます。
その場合、家を夏型にするか冬型にするかということが検討されてもよく、
エコハウスはパーソナルオーダーでなければなりません。
大切なことは、それぞれの家族にあったエコハウスであり
「環境にやさしい家=住む人にとってもやさしい」という家をつくることです。

エコハウスS +Air

 

エコハウス + 床下エアコン暖房 = 「家計にやさしい全館暖房の家」

「+Air」とは「エアコン」を意味しています。
エコハウスSに床下エアコン暖房を加えると、Lowエネルギーで全館暖房が可能になります。
全館暖房というと機械的で贅沢に感じられますが、
自然エネルギーの活用と進化した建築技術にエアコンを組み合わせると、
これからは床下エアコンによる全館暖房がスタンダードになっていきます。

基礎断熱 + 床下エアコン
ヒートポンプとは、空気中の熱をかき集めて少ないエネルギーで大きなエネルギーに変換する技術です。
再生可能エネルギーと聞いたときにイメージするのは太陽光発電、風力発電、水力発電などですが、
ヒートポンプも自然エネルギーを活用した再生可能エネルギーとして位置づけられています。
エアコンの性能はヒートポンプ技術の向上で飛躍的に進化ました。
進化したエアコンを利用するのは、料金が約3分の1になる深夜電力の時間帯です。
運転時間は午後11時から午前7時の間。
床下エアコン暖房で熱容量の大きい基礎コンクリートに熱を蓄えます。
基礎コンクリートはいったん温めると冷めにくく、
日中はエアコンのスイッチをオフにしたままでもコンクリートからの放熱で全館快適な室温がキープできます。
38坪くらいの家であれば、冬は小さなエアコン1台で建物全体を暖めることができます。
夏の冷房は2階のパブリックスペースに設置したエアコン1台で建物全体を冷やします。

Lowエネルギーで快適な温熱環境
滋賀は断熱等級区分5地域、6地域に位置しています。
UA値0.6W/㎡k C値0.7c㎡/㎡の場合、床下エアコン暖房にすると、
日中は18℃~20℃の室温をキープでき、就寝時も16~18℃をキープできます。
予算にもよりますが付加断熱を加え性能を上げると、より快適な温熱環境の家になります。
家づくりにおいては、イニシャルコストが気になる部分ですが、
冷暖房費などのランニングコストも重要な部分です。
冷暖房負荷をもとに高性能住宅とそうではない家の年間消費エネルギーコストのシミュレーションを行なうと、
35年で300万円程度の差になります。

理想的な低温輻射暖房
床下輻射暖房は室内の空気を汚染せず、不快に感じる人工的な風がない理想的な暖房方法です。
輻射暖房の代表は床暖房ですが、全館暖房をするためには建物内の全床面に設置する必要があります。
その場合に問題となるのはイニシャルコストの増加と決して安くないランニングコストです。
すると、結果的に、リビングだけなどの局所暖房となってしまいます。
それにたいして、床下エアコン暖房は全館暖房を前提とした暖房方法にもかかわらず
イニシャルコスト、ランニングコストを共に抑えることができ、経済的にも理想的な暖房方法です。

プランの工夫
「吹抜けは寒い」というイメージがありますが、高性能化された家の場合、吹抜けは逆に好都合となります。
エコハウスSは小さなエアコン1台で暖房をするため、吹抜けは空気の通り道となり、
効率よく家全体を快適な温度にすることができます。
また、引戸を組み合わせるとより快適で開放的な暮らしができます。

人にやさしい健康暖房
床下で暖められた空気は「暖められた空気は上昇する」という自然の摂理に従い、
ゆっくりと上昇して建物全体を快適な温度にします。
ヒートショックに起因して心疾患や脳疾患で亡くなる人は交通事故で亡くなる人の3倍というデータがありますが、建物内部の温度差を解消できる全館暖房は人にやさしく、足の裏から暖める頭寒足暖の健康暖房法です。

エコハウスS+solar

 

エコハウスS + 再生可能エネルギー = プラスエネルギー住宅

住宅はプラスエネルギーの時代へ
プラスエネルギーとは、使用するエネルギーより作り出すエネルギーの方が大きいことを言います。
プラスエネルギー住宅は作り方に順序があります。

まずは、光や風といった自然エネルギーを活用することが前提です。
次に、建物の高性能化により冷暖房・給湯エネルギーを抑え
設計の工夫で昼光を利用して照明エネルギーを抑えます。
すると、最後に残るのは冷蔵庫、洗濯機、テレビなどの家電エネルギーです。
この部分を再生可能エネルギーで補うとエネルギー収支はプラスに転じます。

エコハウスS+solar
家庭でも可能な再生可能エネルギーとはソーラー発電。5Kw前後のソーラー発電を導入すると、エネルギー収支はゼロエネルギーからプラスエネルギーへと変わります。ソーラー発電の初期投資費用を回収する期間の目安は10年。売電価格は年々下がり続けていますが、これに応じて初期投資費用も年々下がり続けています。

≪事例≫
ソーラー発電 5.1Kw
売 電  213,200円
電気代  157,800円(オール電化)
収 支   55,400円

永く住む家をつくる
今すぐソーラー発電が必要な訳ではありませんが、必要になった時には対応できるようにしておく必要があり、そのためには、屋根の掛け方やその他のことが検討されていなければなりません。
来るべき時代に備えを持つ家にすることが、「永い寿命を持つ家」に繋がると同時に、
長持ちする家こそ本当のエコハウスです。

日本の家の寿命は35年というデータがあります。
35年後というと21世紀の折り返し地点。
COP21で示された「今世紀末に温室効果ガス排出を実質ゼロ」へ向けても折り返し地点です。
技術的にもコスト的にも問題がなくなった今、住む人にやさしく、リーズナブルに暮らすことができ、
また国内や世界が抱える問題の解決に繋がるエコハウスは、時代が求める家です。

エコハウスSの未来

エコハウスS +solar + 蓄電池

ソーラー発電による余剰電力の買取が終わるのは20年後。
その頃、蓄電池はおそらく格段の進歩を遂げているでしょう。
その時、電力は遠くから運ばれてくるものではなく家やコミュニティで創る時代になります。
それはそう遠い先のことではありません。

ソーラー発電に蓄電池を組み合わせるとエネルギーの自給自足が可能になります。
日中、ソーラーで発電した電気を蓄電池に蓄え、
夜間に、その電力を使用すると電力会社の電気を使わないオフグリッド生活が始まります。
グリッドとは送電線のことで、オフとはそのグリッドと繋がっていないという意味です。
これまでは当たり前であったことが当たり前でなくなる時代になります。

エネルギー供給のあり方
国内には、東日本大震災に端を発する原発を含むエネルギー問題があります。
蓄電池技術が進化すると一次エネルギー消費を削減でき
電力需要のピークを抑えることができます。

温室効果ガス排出削減
世界的にはCOP21で新たにパリ協定が採択されました。
温室効果ガスの排出削減が世界各国に求められています。

家づくりは長期的な視線を持ち環境や未来のエネルギー供給のあり方を含めて考えなければならない時期になってきているのではないでしょうか。