湖国・現代町家
建築家と取り組むスタンダードハウス
「現代町家」は、かつての町家に学びながら、現代の町家を各地につくろうという全国的な運動です。
建築家・趙海光氏が考案した明快な設計ルールにより、確かな構造と美しいデザインを兼ね備えた家です。
2009年度 グッドデザイン賞
湖国・現代町家
現代町家は、歴史的な町家の因子を現代の町家として活かします。滋賀におけるこの取り組みを、「湖国・現代町家」と名づけました。外観は伝統的な町家をモチーフに、焼杉や格子を外壁に取り入れます。湖国の建築文化の一つでもある焼杉と格子を今の時代に合わせてモダンに再現した永い好みに応える家です。単なる懐古主義ではなく、現代にあった町家が「湖国・現代町家」です。
滋賀の気候・風土に合った家づくり
滋賀の気候・風土の特徴は、県土の6分の1を占める琵琶湖の存在が大きく影響しています。県内は内陸性気候の範囲にありながら、海洋性気候の特徴である風が一年を通じて吹き、その風は「湖陸風」と呼ばれています。建築予定地と琵琶湖との位置関係を読み込み、風が吹く方向や時間によって変化する風の向きを考慮に入れて、窓の大きさや種類を決めて家の中を風が通り抜けるように計画します。
昔の町家と現代の町家

昔の町家のような接隣性は、現在の法規では不可能です。
むかしの町家を町家たらしめていたのは、接道性と接隣性です。道に接し、隣家に接して、隙間なくびっしりと建っています。
屋根・軒・格子を連ね、それが調和を生み、独特の美しい景観をつくり出していました。しかし、現在はそれと同じようには建てられません。道路後退や隣地境界など、今の建築法規に従わなければならないからです。
現代町家は、この部分に注目し、空地を部屋の一つに取り込む設計を考え出しました。
現代町家の設計ルール
現代町家のスケルトン(骨格)は、120×240ミリの平角材です。同一の寸法の材を柱と梁に用います。
この平角スケルトンによって構成される「ベース」と、水廻りや階段、玄関などからなる「ゲヤ」を組み合わせて設計します。

一つのベースに複数のゲヤのパターン。ゲヤで凹凸をつけ、敷地全体を設計します。

二つのベースにいくつかのゲヤのパターン。生活ゾーンを二つ持ち、家族・生活の変化に対応しやすいつくりです。

いくつかのベース複合パターン。細長い敷地や平屋などに向いています。
一坪里山をつくろう

デッキに埋め込まれた一坪里山。
これらのベースとゲヤを組み合わせると、敷地に「空地(くうち)」が出来ます。その空地も一つの部屋と考え、そこに「一坪里山」をつくろう、と呼びかけています。
いま、在来種の草花が次々に絶滅危惧種に加えられています。外来種によって駆逐されたり、開発や農薬によって姿を消しているのです。一坪里山は、地域の在来種の植物を植え育てることで、その保護育成を行いながら、植物の多様な変化を楽しもう、という取り組みです。
マニュアル化と工夫の余地

設計とシステムの2冊のマニュアル
現代町家は、設計や構造がルール化され、マニュアルも作成されています。だからといって全国で画一な家が建つわけではありません。
設計は自由度が高く、敷地ごとにサイトプランニングを行い、その土地にあった設計を行います。仕上げやファサード(家の正面・表情)は、地域の町家の因子を活かして、その土地ならではの町家をつくります。
山手工房の腕の見せ所です。
1948年、青森県生まれ。法政大学工学部建築学科卒業。1980年に(株)ぷらんにじゅういちを設立。1991年に岐阜県金山町の大工職人衆と「台形集成材一座」を結成し、国産材による現代型木造住宅の開発と普及に努める。現在、スタンダードハウスの運動「Cho Standard──現代町家」の展開を、全国の町の工務店とともに進行中。